雇用保険財政国庫負担

 雇用保険の求職者給付の費用の4分の1を国庫負担するのが原則だ。日雇い労働者の場合は3分の1だ。しかし、平成19年度(2007年度)からは、「当分の間」、その55%とされてきた。さらに、雇用保険法附則第14条第1項により、平成29年度(2017年度)から令和3年度(2021年度)までは10%とされた。

 雇用保険の積立金の現状を考えると、来年度、令和4年度(2022年度)からは、本来の姿、4分の1に戻すべきだろう。さらに、教育訓練給付には国庫負担がないが、人材養成の観点から国庫負担を入れるのがいいと思う。取り敢えず、雇用継続給付並みの8分の1から始めることを勧めたい。

観測、測定の安定性

気象の観測は、長く続けられている。基本的な観測項目は、気温、気圧、降水量で、このデータが毎日分かるのは、それ自体役に立つ。そして、過去のデータが蓄積されていることによって、長期的な分析が可能になっている。毎月勤労統計の、常用労働者数、平均賃金、平均労働時間も同じだ。

気象観測のデータの定義や観測方法を変えてはいけない。同様に毎月勤労統計のデータの定義を変えるべきではない。2018年に、これを安易にやってしまった。

低賃金アディクション

 現在の日本には、労働生産性が低く、労働に見合わない低い賃金しか払えないために、日本人を雇用できない職はある。それを外国人労働者受け入れによって穴埋めすることの問題点は、労働生産性が低いまま、したがって、賃金が低い職のままに留まることだ。出稼ぎ労働者というのは高い賃金を求めている。母国の賃金が高くなってくれば、外国人は来なくなる。技能実習生の中心であった中国人はもう来なくなった。黄金の国ジャパンではなくなっているのだ。ベトナムも経済成長を続けている。ベトナム人もいつかは来なくなる。もし、その職が必要不可欠なら、外国人を引き付けることができなくなったとき、日本の社会、経済にボトルネックが生じる。

 受け入れなければ、賃金を引き上げるために労働生産性の引き上げが必要になり、技術開発、設備投資などが行われる。転業もあり得る。それらに伴って発生する職は、労働生産性が高く、賃金も高い可能性が高い。日本人の職が失われるのは、ここでだろう。

 もう一つの問題点は、経営者の意欲が低賃金の外国人労働者を確保することに向いてしまい、労働生産性を引き上げようとする意識が薄れてしまうことだろう。どうすれば、労働生産性を引き上げることができるのか、そのノウハウも失われてしまう。経営者が低賃金アディクションになっては困る。政治家も。

テニュアトラックにいる労働者のテニュア付与取り消し

 テニュアトラックにいた労働者が、テニュアの採用をすると通知を受けた後、過去の思考上の問題により、テニュアトラックでの停職の懲戒を受け、さらに、テニュアの採用を取り消されたらどうなるか?

 テニュア付与の通知は採用内定と受け取るのが自然だろう。それならば、その「撤回」は一方的な解約ということになる。内定の際に内定取り消しの事由が定められていたか、その事由に該当するか、取り消しが、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できるかが問題となる。

 論点がいくつもありそうだ。テニュアトラックで解雇していたのなら、テニュア取り消しという決定は整合性がある。一般的には、テニュアトラックを無事に終了することが、テニュア付与の条件になっていると考えられ、それが満たされ中ttなら、留保されていた解約権を行使するのには無理がない。この場合、テニュアトラックでの解雇の有効性を争うことになるだろう。

 テニュアトラックでは停職しかしていないということは解約するほどの非行ではないと判断していたことになる。テニュアトラックなら解約する必要はないが、テニュアトラックなら解約が相当という判断は整合的と認められるかが問題になる。

 一つの議論として、テニュアトラックの労働者の行為であれば、企業の信用失墜の程度は低いので解約するほどのことはないが、テニュアであれば、その程度は甚だしいというものがあり得る。

 テニュアトラックとテニュアの関係をどうとらえるか、これまであまり裁判事例がなかっただろう。

 

健全な経済では人手不足が起こる

 健全に成長している経済というのは、労働生産性も賃金など労働条件も低い部門・事業から労働者が、それらが高い部門・事業に移動していく。それによって、平均労働生産性、平均賃金など労働条件が向上していく。

 労働生産性も賃金など労働条件も低い部門・事業が人手不足にならない経済というのは健全ではない。

 日本の労働生産性と賃金などの労働条件を引き上げるのであれば、一方で、そのような部門に属していても労働生産性を引き上げ、労働条件を改善しようとする事業主に対して支援を行い、他方、円滑な退出・事業転換を促すというのが正攻法だろう。それ以外は、政府は、そのような部門・事業の人手不足は放置しておくべきだ。

 
 
 人手不足を訴える業種の事業は、多くの場合、低い生産性を低賃金で補って経営を続けるというビジネスモデルで成り立っている。労働生産性を上げることによってではなく、低賃金で働く人間を受け入れることによって、これらを温存するのは適切ではない。

 人手不足がどこで起こっているかの見極めが大事だ。

携帯電話通話料が押し下げる消費者物価指数

総務省が2021年の消費者物価指数を発表した。

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

総合指数は、前年同月比0.1%の上昇であった。

石油やガスの国際価格の値上がりは、消費者物価にも反映されつつある。それでも、上昇率がこのように低いのは、通信料(携帯電話)が前年同月比53.6%低下したためである。

通信料(携帯電話)の寄与度は-1.47ポイントであったこと、言い換えると総合指数を1.47ポイント押し下げた。ガソリンが0.38ポイントしか押し上げていないのに比べると、その影響の大きさが分かる。これがなければ、総合指数は1.3%の上昇だった。

10月の通信料(携帯電話)の価格が変わらない場合には、2021年11月から2022年2月までは、53.6%低下が続き、3月は52.7%低下、4月から7月まで23.2%低下、8月と9月は16.0%低下となる。来年3月まではかなりの押し下げ要因となり続けるだろう。

原油、ガスの価格、円相場の動向にもよるが、来年度に入ったころには消費者物価の上昇率は1%近辺になるかもしれない。

 

所得制限

 コロナ禍の下での子育て世帯への支援に納得できる公平な所得制限は難しく、資産制限はほとんど不可能だ。完璧な制度はないが、未成年を扶養している世帯にすべて給付し、給付には課税するというのが、現実的な方策だろう。ただし、支給対象は世帯主、あるいは夫婦の所得の高い方ではなく、低い方にすべきだ。

 

 

 ここで指摘されている通り、矛盾は児童手当にもある。世帯の合算した所得によって制限をするというのは一つの考え方だ。その場合には、資産の制限はなくていいのか?分離課税の所得も含めなくていいのか?所得税や住民税は個人単位のままでいいのか?この三つも併せて検討する必要があるだろう。

そこまで議論を広げないというなら、これも上のように改めるべきだ。併せて、金額も国民民主党の主張する1万5千円ではなく、5万円ぐらいにすべきだ。

 世代間扶養という考え方で、高齢者の基礎年金には国庫による負担がある。世代間扶養という考え方なら、こども(を育てている人)にも給付するのが当然だ。1万5千円は少なすぎる。

世代間扶養という考え方で、高齢者の基礎年金には国庫による負担がある。世代間扶養という考え方なら、こども(を育てている人)にも給付するのが当然だ。1万5千円は少なすぎる。
 
 
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世代間扶養という考え方で、高齢者の基礎年金には国庫による負担がある。世代間扶養という考え方なら、こども(を育てている人)にも給付するのが当然だ。1万5千円は少なすぎる。
 
 
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