円安防止

 アメリカの長期金利が上昇して、資金の流出が進み、円安が進んだとする。これが消費者物価の上昇をもたらし、この上昇に耐えられなくなって、円安進行を止めるため、日本の長期金利上昇を容認したとする。このとき量的な緩和を続けられるだろうか?これを検討したい。

 アメリカの長期金利が3%、円安防止のための金利が2%とする。そして、リスクフリーでいつでも引き出せる預金と長期金利のスプレッドが1%だとする。このとき、日銀当座預金金利が1%なければ銀行は超過準備を置かず、国債保有しようとする。日銀の当座預金に1%以上の金利を付けない限り、この預金は減っていくことになる。同時に、国債保有額も減っていく。

 日銀の資産が国債だけで500兆円で、負債が日銀当座預金が400兆円、政府預金が100兆円だとする。

 国債の内、50兆円が償還を迎えたとする。日銀の保有国債と政府預金は50兆円ずつ減る。政府は借り換えのために50兆円の国債を発行し、日銀に口座を持つ金融機関がこれを購入したとしよう。日銀の保有国債は増えず、当座預金が50兆円減り、政府預金が同額増加する。

 日銀は、超過準備を維持するために50兆円の国債買い切りオペレーションをしたとする。当座預金が1%未満であれば、金融機関は応じない。当座預金に1%の金利を付けてオペを行うか、この状態を容認するか、あるいは、別の種類のオペレーションをするしかない。