健全な経済では人手不足が起こる

 健全に成長している経済というのは、労働生産性も賃金など労働条件も低い部門・事業から労働者が、それらが高い部門・事業に移動していく。それによって、平均労働生産性、平均賃金など労働条件が向上していく。

 労働生産性も賃金など労働条件も低い部門・事業が人手不足にならない経済というのは健全ではない。

 日本の労働生産性と賃金などの労働条件を引き上げるのであれば、一方で、そのような部門に属していても労働生産性を引き上げ、労働条件を改善しようとする事業主に対して支援を行い、他方、円滑な退出・事業転換を促すというのが正攻法だろう。それ以外は、政府は、そのような部門・事業の人手不足は放置しておくべきだ。

 
 
 人手不足を訴える業種の事業は、多くの場合、低い生産性を低賃金で補って経営を続けるというビジネスモデルで成り立っている。労働生産性を上げることによってではなく、低賃金で働く人間を受け入れることによって、これらを温存するのは適切ではない。

 人手不足がどこで起こっているかの見極めが大事だ。