低賃金アディクション

 現在の日本には、労働生産性が低く、労働に見合わない低い賃金しか払えないために、日本人を雇用できない職はある。それを外国人労働者受け入れによって穴埋めすることの問題点は、労働生産性が低いまま、したがって、賃金が低い職のままに留まることだ。出稼ぎ労働者というのは高い賃金を求めている。母国の賃金が高くなってくれば、外国人は来なくなる。技能実習生の中心であった中国人はもう来なくなった。黄金の国ジャパンではなくなっているのだ。ベトナムも経済成長を続けている。ベトナム人もいつかは来なくなる。もし、その職が必要不可欠なら、外国人を引き付けることができなくなったとき、日本の社会、経済にボトルネックが生じる。

 受け入れなければ、賃金を引き上げるために労働生産性の引き上げが必要になり、技術開発、設備投資などが行われる。転業もあり得る。それらに伴って発生する職は、労働生産性が高く、賃金も高い可能性が高い。日本人の職が失われるのは、ここでだろう。

 もう一つの問題点は、経営者の意欲が低賃金の外国人労働者を確保することに向いてしまい、労働生産性を引き上げようとする意識が薄れてしまうことだろう。どうすれば、労働生産性を引き上げることができるのか、そのノウハウも失われてしまう。経営者が低賃金アディクションになっては困る。政治家も。